
半世紀以上も前に作られたカメラを今もフル機能で楽しむ。しかも、まるで新品の様に美しい姿で。
そんなことを可能にする技術がここにはあります。
NEOPHYT Camera では主に 1925年~1965年に製造されていた機械式フィルムカメラ及びオールドレンズを再生し販売していますが、その全てが匠の技術を持った職人によるこの世に二つとない作品です。
今回は1941-42年製のバルナックライカ(Leica Ⅲ c 戦中型)にフォーカスして、通常使用が出来なくなった状態から全ての機能の修復、そしてお洒落なルックスに生まれ変わるまで、その工程の一部始終を写真付きで公開します。
レストア職人のプライドを掛けたクオリティをご覧ください。
■作業前状態の確認
作業前のオリジナルの状態です。
母体は、「Leica Ⅲ c 段付き 戦中型 No.370761 1941-42年製造」です。
外観を確認すると、トップカバーにあたり凹み有り、またグッダペルカも劣化しています。
■ボディ機構の洗浄
【Before】
トップカバーを外すと塵や埃、緑錆が発生し機能しない状態です。
スローシャッター制御軸にも緑錆が発生し、機能不能に陥っています。
【After】
緑錆、塵、埃の全てが洗浄により完全に除去出来ています。
ピアノ線制御スプリングも綺麗になっています。
■シャッター駆動バネの分解・洗浄
【Before】
駆動バネ筒も細部にわたり分解します。
ピアノ線で作られたスプリングも油分が枯渇しサビている状態です。
【After】
駆動バネ筒、スローガバナーも綺麗に洗浄し、サプリオイルを注油します。
■シャッタースピード制御軸の洗浄
【Before】
高速シャッタースピード軸、スローシャッタースピード制御軸共にサビ付いて正常動作しません。ここは正常動作を取り戻す上で重要なポイントになります。
【After】
サビを除去して本来の金属の姿に戻します。これで正常作動します。
■主要機構の洗浄
ビス一つまで丁寧に洗浄し、本来の姿に戻していきます。
半世紀以上前の部品が洗浄で新品の様に蘇る。これがLeicaの部品の不思議です。
■汚れたシャッター巻き上げドラムの洗浄
【Before】
シャッター巻き上げドラムも古い接着剤の糊あとでかなり汚れた状態です。
【After】
サビや塵、埃油の固着を超音波洗浄で除去します。
これで新しいシャッター幕を貼る準備ができました。
■シャッター幕の交換
【Before】
製造当時のシャッター幕を撤去します。
この赤幕こそが本母体が戦中型Ⅲ cであるという証明になります。
新しいシャッター幕を作ります(裏面ゴム引き絹製)。
裏側の接着面をマニュキュアコートすることで、過酷な使用でも幕の劣化を最小限に防ぐことが出来ます。
【After】
綺麗に洗浄されたボデイに新しいシャッター幕の張り替えを行います。
■ハーフミラーの交換
二重像が薄くなり、ピントが合わせにくくなっているのでハーフミラーを交換します。
写真左が劣化したハーフミラー、写真右が新品のハーフミラーです。その差は歴然です。これではっきりとした二重像が蘇ります。
■光学系パーツの洗浄
光学系ファインダーブロックも超音波で綺麗に洗浄します。
何十年も蓄積されたナノレベルの汚れまで新品の様に全て綺麗に除去します。
■塗装パーツの下地処理
ニッケル・クロームメッキを剥離し、板金修正でアタリや凹凸を綺麗に修復します。塗装前には表面ブラスト処理をし、塗料の密着度を高め塗装を行います。
■シャッタースピードの調整
シャッタースピード計測 1/100。かなりの精度です。
■完成!
戦中型ライカらしく、当時の代表色であるラウフグレーで仕上げました。
約80年前のカメラが完全な機能と共に美しくリメイクされて現代に蘇ります。
■バルナックライカならではの画
渋めの発色をした、どこか懐かしさある現代のカメラでは撮ることの出来ない景色をお楽しみ下さい。
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